【イベントレポート】千歳公楽座 立川吉笑・玉川太福 二人会

長崎市チトセピアホールでは自主事業として5月19日に「千歳公楽座 立川吉笑・玉川太福 二人会」を開催しました。かつて街場にあった寄席のように噺家さんの息遣いまでもが伝わるような距離で落語を聴くというコンセプトで始まったこの会。新元号・令和最初を飾るのは立川吉笑さんと玉川太福さん。昨年12月にも出演いただき大好評だったお二人の凱旋公演ということもあり期待が高まる中、会は始まります。

開口一番は玉川太福さんで「豆腐屋ジョニー」。三遊亭白鳥作の新作落語を浪曲化した一席で、スーパーの売場を巡る豆腐一家とチーズファミリーの権力闘争に翻弄される豆腐のジョニーとクリームチーズのマーガレットの恋物語…、となんともナンセンスな設定も太福さんの圧倒的な声量で唸られると説得力を帯びて聞こえるから不思議です。

続いて立川吉笑さん。寄席での噺家と常連さん、そしてご新規さんの間で繰り広げられる奇妙なやり取りをスケッチしたマクラからの「手動販売機」。

もしも自動販売機の中に売り子として人間が入ってたら…、とこちらも奇想が冴え渡る新作を披露。


仲入り挟んで後半戦。続けて吉笑さんで「道灌」。
古典落語として知られるこの噺も、テンポの良いやり取りのところどころに吉笑さんらしさ溢れるクスグリが散りばめられて個性の滲む仕上がりに。

そして本日のトリは太福さんで「中村仲蔵」。江戸中期に実在した歌舞伎の名優・中村仲蔵の芸道修行の物語で、落語や講談でも語られる名作。これを太福さんは仲蔵を甲斐甲斐しく支える妻の存在も描くことで、カラリと微笑ましい人情噺に仕立てます。

役作りに悩んだ果てに成功を掴む若き日の仲蔵を、みね子師匠の三味線との息の合った掛け合いも交えながら30分以上にわたりたっぷりと語りきり、大団円のうちに会はお開きとなりました。新作と古典、共に能くするお二人ならではの素晴らしい会でした!

「千歳公楽座」はこれからも期待の若手をお招きして開催してまいります。どうぞご期待ください!

【実施概要】
(日  時) 令和元年5月19日(日) 14時~16時30分
(主  催) 長崎市チトセピアホール 指定管理者 有限会社ステージサービス